またアメリカの財政赤字の話になっちゃった。

ブランシャール マクロ経済学〈上〉

ブランシャール マクロ経済学〈上〉

ブランシャールマクロ経済学で勉強しています。
完全に内容を把握するために簡単に序章をまとめます。


これはアメリカの経済学者が書いたものなので簡単に
1999年時点でのアメリカのマクロ経済の動向について
まとめられていました。


マクロエコノミストが経済を俯瞰する時に重要視
する指標が主に3つ。
1)総生産量とその成長率
2)失業率
3)インフレ率


この3つの指標を見る限りアメリカ経済は安定している。
でも、懸念材料がいくつかあって、
1)財政赤字
2)基調的な成長率の低下
3)不平等賃金の拡大
を挙げています。


1981-83年にかけてレーガンは歳出の削減を伴わない減税を行いました。
おかげで財政赤字がいっきに拡大してしまうわけですが、
なんでレーガンがこんなことをやったかというと、ある意味「賭け」のような
ことを意図したんだそうです。
財政赤字をあえて膨らませることによって、財政破綻を恐れた議会が歳出削減をもたらすような法案を作成、通過させてくれるだろう。そして、減税は経済を活性化させ、結果として税収拡大をもたらすだろうと…。


後半の考え方については典型的なサプライサイド的な発想でありますが、結果はどうだったかというと、ご存知の通りです。
1993年にクリントン政権が真っ先に取り組まなければならなかったことは、財政の健全化でした。


財政赤字の何が悪いかと言うと、民間の貯蓄部門が政府の赤字補填に向かってしまい、結果として投資や資本蓄積にお金がまわらなくなり、将来の成長が犠牲になってしまうからです。


グリーンスパンも上のロジックを使ってクリントン財政赤字をなくすような予算案を組むように進言しています。その結果どうなったかというと、支出削減、小さな政府、減税を柱とする共和党の財政政策によって大幅な財政黒字をアメリカにもたらしたのです。


あれ?でも現在は財政赤字に苦しんでるはずですよね?
はい。クリントン時代に築き上げた大幅な財政黒字は息子ブッシュによっていっきに赤字に転落させられたのです。
戦争にはお金がかかるし、スティグリッツ流に言えば「金持ちにカネをばら撒く減税」を行ったからだとされています。
グリーンスパンも一気に財政赤字に転落したことにかなり失望したと書いていました。


アメリカの財政が健全化する日は遠いようですね。