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蒼穹の昴(1) (講談社文庫)

蒼穹の昴(1) (講談社文庫)

4巻まで全部。近現代中国史を勉強し直してから読んだので、康有為、譚嗣同など、歴史上の人物が実は結構登場していたことに気付きました。
清朝が列強に分割され、崩壊していく中で、西太后の寵愛を受ける保守派の春児と、日本の明治維新にならって立憲君主制を樹立しようとする革新派の文秀が対立しなければならないという酷い話です。
この内部対立はは戊戌の政変といって、1898年には光緒帝の詔勅が発せられて皇帝のバックアップがつくことになるんですが、結局は100日たらずで失敗してしまいます。世界史の教科書ではたった2行程度の出来事に、これだけの人間ドラマがあると思うと歴史の奥深さを感じてしまいます。世界史を選択しておけばよかった。

どこまで史実に忠実なのかはわかりませんが、李鴻章が殊更偉大に、聡明に描かれています。香港をイギリスに渡すときに、「割譲」では皇帝に顔向けできないので、形式上「租借」にしなければならい。では何年間の租借になるのか。そこで李鴻章が提案したのが「九十九ヵ年」。今生きている人にとっては99年後なんて自分は間違いなく死んでいるからどうでもいい。しかし、99年後は必ず訪れる。現に1997年に香港は中国に返還されています。その99年後を知る者としては非常に興味深い場面でした。

「天に逆らう者は必ず滅ぶという。時に従って変ずる者は必ず勝つという。」3巻pp.338
「見ろよ、小李子。こいつは男を捨ててきたはずなのに、人間の誇りってやつをちゃんと持っていやがる。」3巻pp.371


二十四の瞳 (新潮文庫)

二十四の瞳 (新潮文庫)

小学校の時担任の先生がよくこの本の話をしていました。話の内容は忘れたけど。
戦前に小豆島に赴任した「おなご先生」が12人の1年生を受け持ち、いろんな思い出をつくるも、戦争によって12人のうち半分の子供を失ってしまい...という話。
解説を読んでこれがプロレタリア文学だったことに気付く。反戦小説という解釈もできる。
自分も田舎育ちなので、馴染みやすいエピソードが多くて懐かしかった。