卒論の構想

卒論の構想を練っています。
フェルドシュタイン・ホリオカ・パラドックス
実証的再検討をしようかと考えています。


1980年の研究で、フェルドシュタインとホリオカが
国内貯蓄率と国内投資率のクロスセクションデータの
回帰分析を行ったところ、有意な相関関係が得られ、
そこから「国内の貯蓄のほとんどは国内の投資に
向けられており、実は国際的な資本移動は決して大きくない」
と結論付けています。
国際的資本移動の自由度の高い理想的な世界と整合的でない
のでフェルドシュタイン・ホリオカのパラドックスといいます。


あまりに有名な学説で、入門レベルの学術書にも
登場するので「何を今更!」と言われそうですが、
まだ自分の型が確立されていないのに先行研究もない
独創的な論文を書こうと思っても、
結局「調べました論文」、「勉強しました論文」
になってしまうのがオチ。


それなら膨大な先行研究を読んでそこに
ちょっと自分の工夫を付け加えるだけでも
研究の仕方やデータ処理の方法を学ぶ上で
勉強になるだろうし、
先生も指導をしやすいと思います。


それにFeldstain-Horiokaは各国の数年間の
平均値をクロスセクションで分析しているので
それにパネル・データ分析を用いて再検討してみる
だけでも有意義だと思うし、
他にもビトウィーン推定法とか一元配置固定推計法とか
いろんな手法を試してみるのもアリでしょう。


あと地域別ダミーや法律ダミー、
国民所得レベルのダミーを説明変数に入れてみるなど
応用はいくらでも利きそう。


法律ダミーって言うのは実は先行研究があって、
Hiroshi Gunji(2003)は、法律ダミーを用いた回帰分析を行い、
「国内投資家を保護する法律のないフランス系法律を
もっている国から、国内投資家を手厚く保護してくれる
ようなドイツ系法律、イギリス系法律を持つ国に
資本が移動している」という結論を導いています。
Abstractは以下のとおり。


The estimstions show that in the French-civil-law countries,
which have the weakest investor protection,
the domestic investment rates are generally less strongly
correlated with the domestic saving rates.
This implies that in countries with less investor protection,
the capital resulting from an increase of domestic saving
tends to flow to foreign countries with stronger investor
protection, rather than into domestic investment.


本文はたった5枚の短い論文なので興味のある人はどうぞ。
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