ノーベル賞経済学者の大罪

ノーベル賞経済学者の大罪

ノーベル賞経済学者の大罪

ノーベル賞経済学者っていうか経済学の方法論についての批判。
著者が批判するのは
(1)統計的有意性を経済学的重要性と勘違いしているという誤った計量経済学の理解、
(2)研究室の中から出ないで紙と鉛筆のみで経済を描写しようとする「黒板経済学」、
(3)そして(1)と(2)の現実世界への誤った適用
の3点。


どれも誰もが思っていることで、真新しいことは何もない。ただ「学者のあんたがそれを言うのかー!」って思わされるところにこの本の価値があります。
経済学に関わらず社会科学系の学問には当然限界があります。それを乗り越える努力をするのが学者であり、著者の言葉を借りれば「機械化された方法論」をただ「機械的に」あてはまて論文を量産し、学者になっていくというのは確かに良くないかもしれませんね。


あとは、理論だけでも実証だけでもダメなんだなと思いました。
物理学でさえ、理論の論文よりも実証の論文の方が多く、多くの理論物理学者は実証分析の論文も深く読み込んでいるとか。
かたや経済学の世界では理論は理論、実証は実証と、きれいにすみ分けがなされています。
現実の世界から理論を語り、経済学を議論したいものです。